水に関する知識

水と食

人と「水」いつも一緒
夏。燦燦と輝く陽光の下。体を思いきり動かして、たっぷり汗をかいた後の冷たい「水」ごくごく飲んで、喉から体内へ流れ落ちる冷たさは、まさにこの上ない、至上のおいしさです。
夜。一日の終わり。就寝前の静かなキッチン。混じり気のない、純粋で透き通った「水」を、グラスに注いでゆっくり飲む・・・・。「水」は、口から喉へ、そして体中の一日の疲れをそぎおとしてくれるくれるかのように、早くも遅くもなく、静かに流れ落ちて行きます。
「水」と私達の関係は、有史以来続いています。人は、「水」のある場所を求めて、世界中をさまよい、歩き回りました。「水」のある場所から、文明は芽生えたのです。
また、「水」は、私達のからだを作っています。体中にいき渡っている血液の約80%は水分です。
これらの「水」を私達は、直接飲んだり、食物を食べるなどして、様々な方法で摂取します。
「水」、食材、そして料理。「水」は、食べ物と、どうかかわっているのでしょうか。
食物の中の「水」
私達が口にする食物の大部分は、「水」を含んでいます。したがって、食物を口にするということは、「水」を体内に取り入れるということにもなります。また、食物中の水分は、食物の形態維持と味覚維維持の役割を果たしています。日時が経過して、水分が蒸発するとひからびてしまいますし、まずくなってしまいます。それでは、食物はいったいどれぐらいの「水」を含んでいるのでしょうか。各食物の食べられる部分を百グラムとした場合、それぞれの水分量はおおよそ次ぎのようになります。
  • 畜産肉類・・・・60〜70グラム
  • 魚類・・・・60〜80グラム
  • 貝類・・・・80〜90グラム
  • イモ類・・・・70〜80グラム(特にイモは大部分がでんぷん粒子なので、水分の保持率が高い)
  • キウリ、ナス、キャベツ、トマト、ホウレン草・・・・90〜95グラム
  • イチゴ、スイカ、ナシ、桃・・・・85〜95グラム
食物の持つ水分には、ビタミンやミネラルなど、体に良い成分が含まれていることに、大きな意味があります。たとえば、野菜や果物は食物繊維に富んでいますが、食物繊維は整腸作用があり、保水性が高いので、便秘の解消にも効果が見込めるのです。特に、体の機能が低下してくる高齢者ほど、水分の多い食物の摂取を心掛けるべきでしょう。
「水」と料理の関係

料理には、「水」が重要な要素を占めています。調理上、食べ物と「水」の相互関係は、どのようになっているのでしょうか。「水」の側からみた作用を、いくつかとりあげてみました。
溶媒の働き
食物中に含む、水溶性の成分を溶かして出します。うま味、苦味、栄養素などをださせます。また、寒天やゼラチンなどを溶かすなど、食品そのものを溶解させます。さらに、食物の内部に調味料を浸透させたり、逆に、食物の塩抜きをするなど、味の加減をします。
熱を伝える働き
火や電気からの熱エネルギーを受けた「水」は、熱源の働きをします。煮る、蒸す、ゆでる、炊くなどは、「水」なしに成り立ちません。
食物を膨張させる働き
食物を「水」につけておくと、食物細胞に「水」が浸透し、体積を増大させ、柔らかくします。穀物や乾物の調理に応用されます。
「水」自体を利用する
お吸い物、汁物がこれにあたります。

水質が決めた日本料理と西洋料理
日本料理は、昔から、素材のもつ風味を損なわずに生かす調理方法がとられてきました。これは、我が国が、古来から良質の「水」に恵まれてきたことに大きく起因しています。特に、「水」主体の吸い物や汁物は、水質の良し悪しに大きく左右されるのです。いくら良い調味料を加えても、「水」が悪ければ、良い味は出せないのです。実は、我が国の「水」の大部分が軟水であることが、日本料理の発展に大きく寄与してきたのです。硬水でお米を炊いたり、野菜をゆでると、カルシウムが食物繊維を硬化させるため、パサパサに仕上がってしまうのです。
ヨーロッパや中国では、硬水地域が多く、このため、「煮物」よりも、シチューなどの「煮込み物」が食べられてきました。マグネシウムを多く含む硬水は、口当たりが固く、清涼感に欠け、苦味も増すので、煮物や汁物などには向きません。また、硬水は、成分中のタンパク質がカルシウムと結合しやすいため、いわゆる「うま味」が出なくなります。そこで時間をかけて煮込むことで、これを補うわけです。また、硬いスジ肉を柔らかく煮込みたい時には、硬度300度以上の硬水が良いとされています。(日本の水は、場所によって異なりますが、大体100度未満です)
さらに西洋料理では、味をよくするために、ワインやバター、生クリーム、オリーブ油、香辛料などを使って、味をコントロールします。
その点、軟水は、食物本来の風味を維持し、食材の長所をうまく引き出してくれます。
その国の水質が、料理の歴史を作り出してきたなんて、神秘的ですね。
緑茶圏とコーヒー圏
フランスやドイツ、イタリアなどの、ミネラルの多い「水」で緑茶をいれても、おいしくありません。緑茶独特の色も香りも、日本と比較にならないほどです。ところが、同じ「水」でコーヒーを入れると、不思議なことにおいしいのです。どうやら、緑茶は軟水が出る地域で発達したらしいのです。中国の雲南省や台湾、南米コロンビアには、軟水が出る地域があるのですが、これらの地域では、緑茶を飲む習慣があります。
これに対してコーヒーは、緑茶ほど水の硬度に影響されない飲み物です。豆のローストの具合次第で、どんな「水」でもおいしく飲めるからこそ、世界中に広まったのでしょう。
黒く煎ったイタリアンローストという豆を使ったコーヒーは、硬水でいれると、香りも良く、適度な苦味のあるコーヒーができます。浅く煎った豆軟水向きです。硬水でいれると、香りよりも、「水」の個性が際立ってしまいます。
硬水地域のイタリアで、濃いエスプレッソコーヒーが生れ、軟水の多いアメリカで、軽い味わいのアメリカンコーヒーが生れたのも、分かるような気がしますね。
おいしい「水」ってどんな「水」?
「水」をおいしくする要素をいくつか上げてみます。
@ミネラル
一般にミネラルとは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガンなどの総称です。これらの成分が適量含まれていれば、こくのあるまろやかな「水」になり、多くなけばなるほど、苦味や渋みが増して、辛い感じの「水」になります。
A硬度
硬度が高すぎると、苦味が増して、お腹をこわしやすくなり、低すぎると味気のないまずい「水」になってしまいます。おいしい「水」の硬度は、50度前後とされています。
B炭酸ガス
適量含まれていれば、口にさわやかな清涼感を与え、胃にも良い効果をもたらします。
C酸素
酸素が欠乏している「水」ほど汚染されやすくなります。
D水温
適温は、10〜15度Cです。一般的には低い方が、よりおいしく感じるようです。
また、「水」の味を損なう要素としては、次ぎのような項目が上げられます。
@過マンガン酸カリウム消費量
水中の有機物の量を示すもので、これが多いと、汚染が進んでいるということになります。
A臭気度
藻類などが原因となります。
B残留塩素
いわゆる「カルキ臭」をもたらし、「水」をまずくします。
有益な成分を全く含まない「水」は、おいしくない上に、体への有効性も伴いません
「水」で料理がかわる
浄水器を通した、まろやかな「水」を調理に使うと、水道水をそのまま使った場合と比べて、次のような傾向があります。
●ご飯の一粒一粒が、丸く炊き上がります。ツヤや歯ごたえも違います。
●紅茶をいれると、透明で濃い紅茶ができます。
●同様に、お茶やコーヒーも、それぞれが持つ本来の味や香りが引き出せます。
同じ料理、同じ飲み物でも、「水」にちょっと気を配るだけで、随分と違ってくるのです。


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